きのうDr.Kから届いた夜中の病院での実話です。
最近は学会の内容についてのやり取りをメールでさせてもらっていたので、
急に件名が「夜中にドアがぁ...」だったのでビックリしながら読み進めました。
衝撃的です。
Dr.Kの了解が出ましたのでここにご紹介させていただきます。
1通目のメール-----------------------------------------------------
おととい当直だったのですが、夜中2時ころ寝ようと思い当直室に向かいました。皆、寝静まっている夜中の病院...。
当直室のドアをあけようとノブを回したところ...開かない。カチャカチャ。
”鍵が閉まっている!鍵が...?。普段は鍵どころか、ドアさえ開いているのに。”
”ノブが壊れたのかも。古い病院だからそんなこともあるよな。”
もう一度回してみた。
カチャカチャ。やっぱり駄目だ。
カチャカチャ。やっぱり鍵がかかっている。
”どうしよう。医局のソファで寝るか。”
”昼間何かあって事務が鍵をかけたのかもしれない。事務に連絡してみよう。”
PHSを取りだし、事務にかけようとした、その時...
‘カチャカチャ‘
”!!!”
”カチャカチャって、何だ?中に誰かいるのか?”
‘カチャカチャ‘
”まただ!中に誰かいるっ!今日は俺が当直なはずなのに。間違ったか?”
医局に足早に戻り当直の予定が書きだされているホワイトボードを確認したが、やはり俺が当直だ。
”じゃあ、誰(何)が中にいるんだ!?”
物音に気付いた看護師も二人やってきた。
‘どうしたんですか?、先生。‘
‘当直室が開かないんだよ。鍵がかかっているみたいで。‘
‘なんで、鍵なんか。事務に聞いてみますか?‘
と、その時、またも、
‘カチャカチャ‘
”中からだ!”
‘えっ!?中に誰かいるんですか?‘と、看護師。
コンコン、ノックしてみた。
‘コンコン‘
ノックが返ってきた!!
‘!!!?‘
一堂、顔を見合わせる!
本当はすごく短いと思われるが、実に長く感じられる一瞬の静寂が病院の廊下をつつむ...。
皆が固まっていた、その時...、
‘カチャカチャ、カチッ。ズズッ。‘
開いた!
ドアが中から開いた!!
薄明かりの中でドアがゆっくり開いていく...。
ギ〜。
そして、そこに出てきたのは...。
.....!。
ア〜〜〜ッッッ!!!!!
次回に続く。
(これはノンフィクションです。)
2通目のメール-----------------------------------------------------
ドアが開いたそこには...
一人の老人が立っていた。
無言で。
じっとこちらを見ている。
またも何ともいえない静寂が周囲をつつむ。
‘何をしてるんですか?ここで。‘
静寂を破り看護師の一人が尋ねる。
‘.....‘
じっとたたずむ老人。
‘ダメじゃないですか、お部屋に戻らないと。○○さん。‘
‘トイレに来たんだけど...。‘
‘さあ、一緒に行きましょう。‘
無言で手を引かれ出て行く老人。
後には、当直室に蔓延する老人特有のまとわりつくような整髪料のにおいと、ベッドメイキングされていたはずの寝床が‘今起きました‘と言わんばかりの形に変り、そこそこの時間寝ていましたと伝えるがごとく生暖かい布団が残されるだけだった。
寝ぼけたご老人の患者さんが自分の部屋と間違って寝入ったという結末でした。ご丁寧に鍵までかけて。病室には鍵はないはずなのに...。
その後、換気、シーツ交換などを経て、就寝したのは3時。
4時には救急外来からお呼びがかかり出動。
当直室に進入した老人は自室で熟睡し、翌朝主治医が本人にことの成り行きを説明し状況をたずねたところ、
‘そんなことをしたのですか、私は...。‘
とのことでした。
当病院史上初めてのことだそうです。
ちゃんちゃん。
(ノンフィクションです。)
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状況描写が超リアルだし、ちょうどいいリズム感で気に入ってしまいました。
やっぱり1つのことに秀でてる人はいろんな才能持ってるんですね。
面白かった!
hideka